バレエを始めたばかりの頃わからなかった、何なら今もきちんと理解できていないかもしれない「エポールマン(Épaulement)」。フランス語で「肩の使い方」という意味を持つそうです。エポールマンはバレエの美しさと表現力の基礎となる要素です。今回は、エポールマンの8つの基本方向について分かりやすく詳しくまとめてみました。
エポールマンとは?
エポールマンとは、バレエにおいて体の向きと姿勢を決定する基本的な方向性のことです。舞台やスタジオでの立ち位置に対して、ダンサーがどの方向を向いて踊るかを示します。
エポールマンが重要な理由
1. 美しいライン
エポールマンを正しく使うことで、体に立体感と優雅なラインが生まれます。平面的ではない、奥行きのある美しい姿勢を作ることができるのです。
2. 表現力の向上
同じ動きでも、エポールマンが違うだけで全く異なる印象や感情を表現できます。ロマンティックな場面から力強いシーンまで、様々な表現が可能になります。
3. 舞台映えの効果
客席からの見え方を計算したエポールマンは、ダンサーをより美しく、より印象的に見せる効果があります。
4. バレエ技法の基礎
すべてのバレエの動きはエポールマンありきの上に成り立っています。これを理解することで、他の技法の習得がスムーズになります。
バレエの8つの基本方向
エポールマンには8つの基本方向があります。舞台の前方(客席側)を基準として、以下のように分類されます。
1. アン・ファス(En Face)- 正面
基本姿勢
- 体を完全に正面(客席)に向ける
- 両肩が客席と平行になる
- 最もシンプルで基本的なポジション
レッスンの際の基本です。鏡に真っ直ぐ立って両肩の高さを揃えてください。骨盤も正面に向けます。
2. クロワゼ・ドゥヴァン(Croisé Devant)- 前交差
基本姿勢
- 体を斜め45度に向ける(右前または左前)
- 前足が観客から見て交差して見える
- 上半身に美しいねじりが生まれる
最もよく使われるエポールマンの一つです。エレガントで古典的な美しさを表現できます。立体感と奥行きを演出します。まず正面を向いて立ち、右足が前の時は45度左に向きます。左足が前の時は45度右に向きます。
3. エカルテ・ドゥヴァン(Écarté Devant)- 前開き
基本姿勢
- 体を斜め45度に向ける
- 前足を横方向に開く(客席から見て開いて見える)
- より開放的で動的な印象
骨盤の向きを保ち軸足でしっかりと立ちましょう。
4. エファセ・ドゥヴァン(Effacé Devant)- 前斜め
基本姿勢
- 体を斜めに向ける
- 前足が客席から見て開いて見える
- クロワゼより軽やかで開放的な印象
クロワゼとの違いを意識して、上半身の傾きを適度に保ちましょう。腕のポジションで表現を豊かにします。
5. アン・ドス(En Dos)- 背面
基本姿勢
- 完全に背中を客席に向ける
- 最もドラマティックなポジション
- 後ろ姿の美しさが重要
レッスンではあまり使う事はないと思いますが舞台上で悲しみや絶望の表現・去り行く場面などに使われます。背中のラインを意識して首の向きと腕の使い方で感情を表現しましょう。
6. エファセ・デリエール(Effacé Derrière)- 後ろ斜め
基本姿勢
- 体を斜めに向ける
- 後ろ足が客席から見て開いて見える
- 後ろ向きの中では比較的親しみやすい印象
エレガントな後ろ向きのポーズです。後ろ足の美しいラインを意識しましょう。上半身のバランスも保ちます。視線の方向で表情を作る事ができます。
7. エカルテ・デリエール(Écarté Derrière)- 後ろ開き
基本姿勢
- 体を斜めに向ける
- 後ろ足を横方向に大きく開く
- 最もダイナミックな後ろ向きポジション
軸足の安定が重要になります。力強さがありドラマティックな表現できます。全身でバランスを取りましょう
8. クロワゼ・デリエール(Croisé Derrière)- 後ろ交差
基本姿勢
- 体を斜めに向ける
- 後ろ足が客席から見て交差して見える
- 最も複雑で高度なエポールマン
最も技術的に難しいポジションとなります。深い表現が可能ですが体幹の強さが必要となります。
まとめ
エポールマンは、バレエの美しさと表現力の源です。8つの基本方向それぞれに特徴があり、適切に使い分けることで豊かな表現が可能になります。
初心者の方は、まず4つの前向きポジション(アン・ファス、クロワゼ・ドゥヴァン、エカルテ・ドゥヴァン、エファセ・ドゥヴァン)をしっかりとマスターすることから始めましょう。正しい基本姿勢を身につけ、コツコツと練習を続けることで美しいエポールマンができるようになります。

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